当ブログへご来訪いただき、ありがとうございます。このページでは、パニック障害について書いています。この前の日光白根山で、登山中にパニック障害の症状が出たので、これはもうブログに書くチャンスだと思いました。
実験と考察の繰り返しだ!一歩一歩進むよ!
ふふっ、こいつは主治医から「研究家」と言われてます笑
これから書くことは私がいつもノートに書いてやっていることで、正式には認知行動療法の中のコラム法といいます。厚生労働省のHPから「自動思考記録表(コラム表)」という自分で記入できるタイプの用紙をダウンロードできます。
精神疾患があるないに限らず、日常生活での悩みや人間関係の悩みの思考整理にお役立てください。
ちなみに私のパニック障害のことは下記の記事で詳しく書いています。
コラム表を書いてみよう
実際に7項目を書いていきますが、試験のように堅苦しく考えなくていいように、説明の語尾を優しくしています。自分が書きやすいようにアレンジを加えた箇所もあります。
①状況
できるだけ詳しく事実のみを書こう。物事を俯瞰で見る練習として、主観や自分の気持ちは書かないようにしよう。
一週間前、夫と日光白根山を登山中に、山頂まで10分ほどのところで、急に霧に包まれて強風が吹いた。息をしようとするも上手く吸えずに焦り、過呼吸のようになったが、深呼吸したら少し落ち着いた。
いつ、どこで、誰と、何をしていたかを書くんだね!
②気分(%)
その時感じた気分を%で書いてみよう。
恐怖60% 不安20% 焦り10% 情けない10%
恐怖が大半を占めていたよ……
③自動思考
その時に頭に浮かんだこと、イメージ、記憶を書いてみよう。便宜上、ABCの記号を振ると分かりやすい。
(A)息ができずにこのまま倒れてしまって死んでしまうのではないか。
(B)視界もなく苦しいものに閉じ込められて怖い。
(C)前も経験したけど、苦しいからすぐに逃げたい。
自動思考は「自動」なのでコントロールしたり、止めたりできないんだ…
イメージ図もあると、より分かりやすいね!
④根拠
自分の中で裁判を起こそう。自動思考側が客観的にそう考える理由、裏付ける根拠、事実を書いていくよ。
(A)呼吸ができないと人間は死んでしまう。だから、パニックが起きて当然だ。
(B)霧は見通しがきかないから閉所を感じるし、風上に向かって呼吸すると苦しい。「閉じ込められた」も同然だ。
(C)苦しい状況はすぐに回避した方がいいに決まっている。
結果的に「自分を辛くさせる思考」側の主張です!
⑤反証
自動思考と矛盾する事実を書いていこう。逆転裁判でいう「異議あり!」の時間です笑
(A)「呼吸ができない」と思っただけで、現に呼吸は止まっていないし、ゆっくり息を吐くことで対処できていた。
(B)霧はただの空気中の水滴であり、閉所を作り出す作用はない。現に少し慣れてきたら、霧自体にはそこまでの恐怖を感じていない。風に対しては上記の(A)の方法で対処できていた。
(C)今回は客観的に考えて命の危険があるような状況ではなかった。自動思考は状況を的確に捉えようとしなかった。
反証をするのは、自分の中の「相棒」です!頑張れ!
自動思考が元々の自分の認知からの産物なので、最初のうちは反証を上手く書くことができません。しかし、考え方の癖(認知バイアス)を認識すること、自分ができていたことを認めてあげることで、少しずつ反証できるようになるので、ご安心ください。
考え方の癖(認知バイアス)については、下記の記事に詳しく書いています。
⑥適応思考
根拠と反証を「しかし」でつないでみよう。第三者視点からアドバイスするなら何て言うだろう。今までの経験から役立ちそうなことはある?
(A)風が強いと「呼吸ができなくて死んでしまう」と思うが、いつもゆっくり息を吐くことで対処できている。焦らずに風下を向いて10回深呼吸をしよう。
(B)霧が閉所を感じさせ、風が息苦しさを感じさせるが、霧はただの水滴でしかなく、すぐに慣れてくるし、風は(A)の方法で対処できている。怖くなっても大丈夫。恐怖に支配されない対処法をたくさん持っておこう。
(C)命の危険からの回避行動はすべきだが、今回はそういう状況ではない。状況を冷静に把握するには、自分の状況を俯瞰で見るようにしよう。同時に「正常性バイアス(※)」にも注意しよう。
人に言われるより、自分で考え出した考え方は受け入れやすいね!
※正常性バイアスとは、予期しない非常事態にあった時、「これは正常」「大したことない」「自分だけは大丈夫」と思うことで、心の平静を保とうとする心の働き。危険な事態を過小評価するため、対応が遅れると打つ手がなくなる。(パニック障害とは真逆なので反証の際に陥りやすい)
⑦今の気分(%)
安心65% 予期不安(また起きたらどうしよう)35%
予期不安はしつこいけど、だいぶ安心になりました!
コラム法をやった後は
コラム法を書き終えたら、⑥適応思考の(B)に書いた「怖さに支配されない対処法」を考えたり、(A)の深呼吸の方法を実際に考えたりします。
とにかくアイディア出しと実験の繰り返し!(地味)
ちなみに前回の厳冬期の硫黄岳で同じようになった時は、以下の対処法を考えました。
①瞑想を普段からやる(自分の落ち着く深呼吸の体得のため)
②登りながら上も見るようにする(マイナス思考になりにくい気がする)
③「怖い」と感じそうな時に笑顔を作る(リラックス)
④緊張したら飴をなめる(リラックス)←冬は袋が開けづらく不向き
硫黄岳より風の強い赤岳でもこの対処法を生かし、無事に登頂できました。
しかし、上手くいくことばかりではなく、試行錯誤の繰り返しで、前は上手くいっても期間が開くと効果が薄かったり、体調によっては対処法が効果なかったりします。
「1歩進んで2歩下がる」でも、自動思考は結果的に1歩下がったことを責め立ててくるので、私の相棒はそんな状況で1歩進めたことの頑張りを褒めまくってくれます笑
まとめ
自動思考に行動まで支配されたくないよ……
私は強くないですが、自動思考の思い通りになるほど弱くないです。
自分のやってきたことを過大・過小評価せずに正当に評価し、きちんと認めて、自動思考が怖がっていることにも少しずつ挑戦していきたいです。
それには、きっと自動思考にいつだって反証し続けてくれる「相棒」が必要です。
あなたの心でも「相棒」を育ててみては!?
このページのトップ画像は赤岳の文三郎尾根です。硫黄岳でのパニック発作から3週間後に挑んだ赤岳。山頂直下はかなり強風で、硫黄岳より風が強かったのですが、心の相棒が「無理しなくていい、いつでも撤退していいから、深呼吸を忘れず、笑顔でいこう」と言ってくれ、乗り切れました。